事故当時からのTVマスコミの失態

本日、政府が今回の福島原発事故がその放出放射線量からして(INES評価尺度)レベル7に相当することを認めた。今頃になって発表したのは、情報公開に対する国際的な圧力に配慮してのことだろう。(大気中濃度は外国がいずれ測定すれば分かることなのでいつまでも秘匿にできない。)

1ヶ月前からマスコミの報道に対してずっとブルーな気持ちでいるのは私だけではないだろう。1号機が水素爆発を起こした際に、大量の放射性物質が放出されたにもかかわらず、枝野官房長官、保安院、東電は、「放射性物質が大量に漏れるような事故ではなかった」と記者発表していた。(http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/index_0312.html)

その根拠としては、「格納容器が爆発したのではなく、水素と酸素が結びついて爆発した」からという発表だった。

そして、この時から既に私の怒りは始まった。”水素が漏れたということは、炉の内部から放射性物質が漏れていたということであり、建屋が爆発したということは、建屋に溜まっていた放射性物質が放出されたことではないか”と。 さらに建屋内に使用済み核燃料棒の貯蔵プールがあること、3号炉ではプルサーマル燃料を燃やしていたこと、を一切発表しないのはどうしてなのか?”と。

さらに、3月13日朝に1号・3号炉の放出弁を開放した際に大量の放射性物質が上空に放出されたが、事前告知が行われず1時間ほど経ってから記者発表を行ったこと、そしてその際の記者発表での枝野官房長官及びその他TVでの専門家のコメント・・・”想定される範囲内で管理された形で「微量の」放射性物質が「手順に基づいて」行われており、人体に影響を与える放射線が放出されているものではなく安心して欲しい”という内容・・・に怒りが上昇した。

さらに、「モニタリングポストの放射線の急上昇は一時的なことで、よくあること」という補足も付け加え、保安院はこの時点で「レベル4」と発表していた。(http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/index_0313.html)

このとき東京でも0.9ミリシーベルトが観測されたというのにである。そもそも「手順に基づいて」やるのならば事前に告知すべきではなかったのか?

また3月21日に降雨の予報が出た際にも、各TVでの専門家のコメントは、上空の放射性物質がまとまって原発近辺に落ちるので、原発近辺から外に拡散しないという意味ではプラスに働くと考えて良い、というものだった。保安院の記者発表でも、屋内退避地域の住民に限って、雨に濡れた場合には洗い落とすようにといった限定的な説明しかしなかった。。(http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/kanren_0321.html)

そして23日、東京の水道水から基準値を超えた放射性物質が検出され、幼児への摂取が制限される。・・・なんというお粗末であろうか。

あまりに事態を軽視しようとするバイアスがかかった結果である。